風通し

「忘年会の席順見た?」
「見ました」
「ありえねえだろ、なんで新生児科と産科のテーブルが離れてるのか理解ができない」
「新生児科は小児科のくくりなんじゃないですか?たしか小児外科と小児内科のあたりでしたよね」
「それで隣が心臓血管外科」
「それはほら、アーサーさんなんか特に先天性心疾患オペの実績がすごくいいから」
「知るかよ。そうだとしてももう少し産科が近くてもいいんじゃないのか。地球と火星くらい離れてるぞ」
「地球と火星って…でも、ほら、新生児科目線でみると小児科のほうが感覚としては近しいものがあるでしょう?産科よりは。小児と産婦、どっちを診れますかって話ですよ」
「じゃあ言わせてもらうけどおまえは乳腺外科と新生児科、どっちを診れる?」
「…………」(←絶対新生児)
「ほら」
「でも席順なんて決まってしまったものはどうしようもない…」
「いや俺はもうすかさず周産期科部長のところに駆け込んで、『今年度の周産期科は風通しをよくすることを目標にしてきましたよね』っつって」
「で、でた…風通し…」
「部長は俺の熱意にいたく感動して席順を周産期科チームで固めるって言ってた。鶴の一声で」
「うそでしょ…」

行動力よ