医学生×心臓血管外科医

「また今度連絡するから番号教えてくれないか?」と医学生の本田さんをナンパしたら何の疑いもなく院内PHSの番号を教えられ見事玉砕する研修医のアーサーくんね、オッケー👌
軽くあしらわれたのか、ただの天然か…(それとも計算ずくでそういうの慣れてませんアピールか???)と悶々悩むアーサーくんいいよね

「あ、私の番号ですか?」
「そう」
「1902です」
「…なにが?」
「なにがってなにが??」
かみ合わない島国ってたまらないよね

逆でもいいけど
「また連絡するので番号を教えていただけませんか」
「080-…」
「いえそうじゃなくてあなたのピッチの」
「なんだ」
「(なんだってなんだ??)」

「個人的に連絡くれるのかと」
「?はい、今度また私が手術の助手に入るときは連絡します」
「そうじゃなくて」
島国は道のりが果てしないかんじが好きです(一度フラグが立ったら走り幅跳びだけど)


 
「先生、この間はごちそうさまでした。とても美味しかったです。素敵なお店を教えていただきました」
「ああ、実は僕も学会で北大の〇〇先生に教えてもらったんだけどね。ジンギスカンの良し悪しはやっぱり向こうの先生に聞くのが一番だよ」
「あはは」
って手を洗いながら笑ってる本田さんとベテラン大先生のやりとりを見て「はあ〜!?」ってなってる医学生のアーサーくんはかわいいね

「メシなんか行ってずるい」って後から本田さんに抗議し
「?ジンギスカン食べたかったですか?」「今度学生さんも誘いましょうって先生に言ってみますよ」とかトンチンカンなこと言われるやつ

「おまえの方があの大先生より優秀だろ。賢いし、器用だし、冷静だし」
「先生の方が経験がおありでしょう。学ぶことは大きいですよ」
「あいつはおまえに経験しか勝ってない」
「またそんなことを言う」
「それなのにおまえがあんなのにヘコヘコしてるのが納得いかない」
「ヘコヘコなんて」
「媚び売ってるだろ。ジンギスカンより寿司が好きなくせに」
「それは話の流れで、…あのね、学生さん。人付き合いも大切なんです。あなただって私に媚びを売ってるじゃないですか。大学でも休憩室でも会えば真っ先に声かけてきますし」
「俺はおまえに媚びなんか売ってない」
「……まあたしかにヘコヘコされたことはありませんけど…面と向かっておまえとか言われる有様ですし(私先輩ですよね一応…)」
「俺はおまえを、……尊敬してる。それだけ」
「慕ってくださってるんですね。ですから私も気にかけてるわけですが」
「………」
そうじゃないんだよなあって思ってるアーサーくんはかわいい

「俺はおまえをおまえって呼ぶけど、おまえだって俺をいつまでも学生さん呼ばわりだろ。外科何クール目だと思ってんの?」
「あ、そうですね、ごめんなさい、えーっとカークランドさん」
そうじゃないんだよなあああ


 
「学生くんはどこの科が志望なの」
「今はまだ…いろんな科で勉強させていただいてこれだっていうものに出会えたらと思っています」
「ははは模範解答だねえ。心臓はどう?」
「興味はあります」
「みんな口ではそう言うんだけどどうも不人気でね、若手が全然入らないんだよ。なんでだろうなあ」
「(クソブラックだからだろ)」
「本田くんも何かない?こう…うちの魅力をさ」
「ええ…えーと…うーん…魅力ですかあ…………楽しいですよ、心臓」
「すげえ興味わいてきた」
現金

「若手が来てくれるとありがたいんだけどねえ」
「そうですね、私もうれしいです。どうですか、学生さん」
「行きます」
くらいの即答であってほしい

「さっきはあんな風に言ってましたけど、気を遣わなくてもいいんですよ。実際にいろんなところで勉強してじっくり考えて決めた方がいいですし」
「いやじっくり考えたら心外なんか選ぶわけねえだろ」
「…!?」
さらりと暴言吐いてくるやん


 
「かっ…か、」
「か?」
「看護師が話してた! おまえ結婚するんだって!?」
「はあ…?」
「式場探してるって、」
「ああ、違うんですよ、部長にレストランの予約をしておいてほしいと頼まれたので調べて電話したら同じ名前のまったく関係ない結婚式場だったという笑い話で…私が結婚するですって?誰がそんな根も葉もない噂をしていたんですか」
「俺だっておまえに弄ばれて捨てられたって噂話流すとこだったぞ」
「わあ根も葉もない」
「葉っぱ一枚くらいはあるだろ。おまえが結婚するなんて聞かされてどんだけ焦ったと思ったんだよ。人の心臓を切り刻むのは得意だもんな!?」
「いえまあ外科的手法では…」
「学生に粉かけてヤリ捨てるとかおまえ本気でサイテーだからな!」
「ううーん…」
や…やりすて…?