ブライダル

「アーサーさんの会社って、ブライダル部門もありましたよね?」
「ああ、挙式から披露宴まで…あと入籍発表や二次会の企画なんかもやってる。もともとそっちが本業だし実績も十分だぜ。誰か結婚すんの?」
「いえ私たちの…」
「…え?」
「もう入籍ですよ。忘れてたんですか?」
「え?」
もう??

「再来年なんてまだまだ先だな」と思ってたらいつの間にか結婚が目前に迫っていた潔癖症さん…

「いや…うちはなんていうか新興の会社だし…金に物を言わせるセレブ相手の商売だからなんつーか本田流の結婚式とかもっとこう重厚で伝統的な…」
「アーサーさんの会社では重厚で伝統的な集まりの企画はなさらないんですか?」
「いや実績はあるが………」
結婚相手の名前のでかさに急にヒヨり出す

「うちは吐くほど金持ってる政治家や芸能人やIT起業家が『まあさすが○○さんのパーティはセンスがよろしい』『○○会は映えるって評判ですよお』って他者に言わせるために一枚噛んでるようなポジションなんだよ」
「そんな卑下をなさらなくても…では結婚式は他の方にお任せしますか?」
「は!?いや無理無理無理無理、他人が用意したわけのわからない席につくのは絶対に無理。俺プランナーに24時間貼りついて会場の掃除の方法から口出しするぞ。いいのか結婚相手がモンスタークレーマーと化しても」
「ですからアーサーさんの会社にお願いしようと」
したんじゃないですか…