ハメ撮りしようぜ

陽キャ特有のノリ(?)でiPhone片手に「ハメ撮りしよーぜ♡」って言ったら
「やるならちゃんとやりたいです。私収録環境にはちょっとこだわりが…音質にはうるさいですしカメラの手ブレも気がかりです。定点撮影ではだめですか?」
と真顔で言われよくわからんけど全部任せた

実際撮れたのが画質めちゃめちゃいいし音声もめちゃクリアで
「なんかすげえ…AVっぽい。なんつーか素人っぽさというかハメ撮りっぽさがない…」
「いまいちでしたか」
「いやおまえが出演してるAVだと思うとそれはそれで死ぬほど興奮するが」
「うーん…?」
結果オーライなのか…?

「恋人がAVに出てたら興奮するんですか…?」
「いや実際出演してたらたぶん熱出して寝込むが」
「でもこの映像はAVっぽくて興奮すると今さっき仰いましたよね」
「それはあくまで『おまえがAVに出演してる「かのような」映像』だからだろ。『かのような』ってのがポイントだ。おまえみたいに清廉潔白なやつがAVに出てると思うと脳がバグって興奮する。『出てると思うと』が大事なところな。実際に出てたら死ぬ」
「うーん…」
難儀だ…

「…でもなんつーか、あれだな、思ったより普通だったなおまえ」
「え?」
「カメラに動じてないっていうか、恥ずかしがったりもしないし」
「それはまあ慣れていますから」
「は!?」
「カメラにですよ。配信も毎週してますし」
「ああそっちか…てっきりハメ撮りに慣れてるのかと」
「そんなわけないでしょう…こういう撮影ははじめてです」
「よかったよ寝込まずに済んで」
「…一応どきどきはしてたんですけど、それ以上にカメラやマイクの設定が気になってそれどころじゃなかったという部分があります」
「なんだ」
「恥じらいを求めていたのでしたらすみません」
「まあ定点カメラだし恥じらってたところで顔まで撮れてないからな。そこは惜しい。やっぱり俺が撮った方が顔も入ってるところも好きなように撮れたからよかったかもしれない」
「それはさすがに…」
「恥ずかしい?」
「はい」
「………」
「よしこれだって顔しないでください」
よしこれだ